旅行写真記 -チェコ3-

滞在三日目、プラハを離れて「世界一美しい街」と言われ街自体が世界遺産に登録されているチェスキー・クルムロフまで日帰りで足を伸ばしました。プラハはチェコの中心にありチェスキー・クルムロフは端っこの方にあります。車で3時間ほどの距離です。チェコ全体では日本の関東くらいの大きさでしょうか。移動はスチューデントエージェンシーという観光に便利な長距離バスに乗りました。プラハは言ってみれば全体がテーマパーク的に「出来上がっている」街ですが、それ以外の「普通」の部分はどうなっているんだろうというのが気になっていたのですが、この移動のときに車窓からの景色を眺めるのが色々と学ぶことがあって楽しかったです。思ったのは建ってる家の見た目とかはやはり日本とは違いますが、基本的な街や村の構成とか在り方、それから自然の風景というのは世界のどこでも変わらないものなんだなと感じました。これはアニメーション作家として、ある世界と物語を作っていく身としてはとても大きな収穫でした。日本との違いを知ることと同じくらい。チェコは緯度的に北海道と同じくらいなので、風景や植生も北海道のそれに近いです。プラハを離れると割とすぐ雄大な風景が広がりはじめ、村のような集落はあるんですが中間の町というのが全くではないけどほとんどないように見えました。もちろん今回通った道がたまたまそういう地域だっただけかもしれませんが。面白かったのは、池を度々見かけたのですが、日本なら柵で囲ってあったり池の淵から高い段になっていたりするものが、チェコの池の水面はそのまま地面と繋がってる感じ。ちょっと道をふらふら歩いていたらそのまま足を踏み入れてしまいそうでした。なんか自然そのままという感じでいい。鏡のような水面に映る木立がとても詩的で美しかったです。

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チェスキー・クルムロフはプラハ以上に観光地としてのというか、歴史遺産としての街ですが、噂にたがわずとても美しく中世の気分が存分に味わえる場所でした。ディズニーの映画「ピノキオ」の舞台みたい。プラハは都市でアパルトマンが建ち並んでいるのに対して、こちらは一軒家の家並みが美しく、極小規模なエリアで歩いて30分もあればぐるっと回ることが出来そうです。一時は廃れて誰もいない廃村のようになった場所を修復して美しい街並みを復活させたということで、あまり生の暮らしがある場所ではなく、基本的には観光客向けのお店が連なっているという感じでした。冬のオフシーズンに行ったこともあり閉まっているお店も多かったですが、夏のハイシーズンには随分賑わうのでしょう。細い石畳の小径はついつい迷い込んでしまいたくなる魅力があり、お店のファサードもとてもチャーミング。街全体が湾曲した川に抱きこまれるようにあって、川沿いの道には石積みの塀とベンチがありとてものどかな雰囲気で、歩いて回るだけでも十分楽しめます。

 

街の中心になっているのはクルムロフ城。城の塔はチェスキー・クルムロフのどこからでも眺められる街のシンボルです。お城の本体(?)の部分は何度も改築、増築を繰り返され、様々な建築様式が混在するつぎはぎのような造りになっているとのこと。また中央には城門から伸びる1本の坂道が通っており、いくつかの中庭を通過して最終的には街全体が見渡せるほどの高所に辿り着きます。このお城内部を通る坂道っていうのが、中世のお城っていう感じがして素敵でした。今回は見ませんでしたがチケットを買えばかつての王族・貴族の暮らしを伝える部屋の中を見学できるようです。面白いのがこのお城の壁、石が積まれ数々の彫刻で装飾されている・・・と思いきやこれらは全て絵で描かれたもの。街中でもこのようなだまし絵の装飾がよく見られます。城の塔は上の回廊部分まで登ることが出来ます。塔の中には大きな鐘が二つありました。塔の上から眺めるチェスキー・クルムロフの街並みもまた素晴らしかったです。そうそう、お城の入り口に架かる石橋(かつては跳ね橋だったらしい)の両脇には堀があり、そこではなんと本物の熊を飼っているそうです。何故かというと熊が紋章のイタリアのさる貴族と親戚関係であることを示すためだとかなんとか。なんかこういうユーモアというのか「粋」な遊び心を感じるなぁ。このときは冬だったからか残念ながら熊の姿を見ることは出来ませんでしたが、堀を覗き込むとそこだけ動物園そっくりで、石橋の下部分に鉄柵の檻も見えました。

帰りのバスでも3時間延々と窓の外を眺めて過ごしました。綺麗な夕焼けも全世界共通で美しかったです。

こんなところでプラハの旅はおしまいです。

初めて過ごした海外での三日間。あっという間でしたがとても楽しかったです。チェコの人も英語が大得意というわけではなさそうでしたが、僕の拙い英語でもコミュニケーションをとることが出来たことは僕にとって大きな一歩でしたし、笑顔を向けてもらえるととても嬉しくなりました。しかし旅はまだ折り返したところです。次なる目的地、ドイツのベルリンまではのんびり電車の旅。それはまた次回綴ります。